伝統的軸組構法の限界耐力計算法

 

本日、JASCA(日本建築構造技術者協会関西支部)にて、伝統的な軸組構法

を主体とした木造住宅・建築物の限界耐力計算法セミナーに参加しました。


この所、遠出の講習会に進んで参加していますが、今回のセミナーでは

これからの木造建築の構造と技術に新たな可能性を感じました。


伝統的な建築とは、昔で言う石の上に柱(束)が立ち、その上に壁や屋根で

成り立つ建物のことを表します。わかりやすい表現では田舎にあるような

瓦屋根の住宅など、昔ながらにある家、といったものです。

 

現代の建築基準法(1950年制定)は、1980年以降から度重なる地震被害から

人命と財産としての建物を守るために、法改正がなされ、地震に対しての

構造規定が飛躍的に向上されてきました。

 

その流れから現代で造られる一般的な木造住宅(新築)は、筋交いという斜材

と接合金物を用いて、地震から受ける力に対し、耐える(踏ん張る)ような構

造で造られています。

 

わかりやすく説明すれば、地震からの強い揺れに対し、踏ん張りながら揺れ

を抑える造りで、大きな損傷や倒壊を防ぐ構法です。

 

このような構法の造りは、初期の時点でははかなり剛い性能を発揮しますが、

地震の揺れが建物の強さ(保有する剛性)を超えるような揺れ(エネルギー)に達

した時に、構造的な耐力を破壊され、半倒壊や全倒壊へと向います。

 

一方で、今回学んだ伝統的な軸組構法は、太い柱や梁と、それらを囲む粘り

のある土壁等で構成されています。基礎は現代の様なコンクリート立上がり

基礎でなく、石の上に柱(束)が直接乗る造りです。

 

一見では強い地震が起きた時、伝統的な軸組構法の方が地震の揺れに対して

脆く崩れ、すぐに倒壊してしまうイメージが湧くと思います。

 

しかし実際には、伝統的な軸組構法の方が現代の軸組構法に対し、地震の揺れ

をうまく吸収し易く、倒壊に至るまでの時間的な長さを持つ構法となる様です。

 

実は伝統的な軸組構法は、地震に対してガッチリと固めて造られている現代の

一般的な木造住宅の構造に対してその構造的な剛性を弱め、変形すること(揺れ

に対して動くこと) によって地震の揺れをうまく吸収(減衰)し、粘りのある性能

で半倒壊や全倒壊に至るまでの時間的な距離を得る造りとなっています。

 

もちろん、伝統的な軸組構法が倒壊しないわけではなく、伝統的な建築も揺れ

が安全の限界点に達すれば最終的には半倒壊や全倒壊に至ります。

 

この様な構法を最大限に活かすためには、適切な耐震設計(限界耐力計算法)と

共に、その構法を活かすための熟練した施工技術が必要不可欠です。

 

今回のセミナーから、昔から存在する日本の伝統的な軸組構法が持つ構造的な

性能が新たに見直され、地震国の上に建つ建造物の構法として有効に活かされ

て欲しいところです。

 

これからの建築の流れの中で、新しい構法の建築ばかりでなく伝統的な古民家

や土壁造りの住宅など、環境面にも配慮する伝統的な木造建築に、大きな可能

性と期待を寄せています。

 

木造は他の建築に比べ、奥が深く同時に最も頼もしい分野です。 

 

 

 

 

 建築士とやまの日常記

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